多くの企業が、自社のサービスの大部分をクラウドプラットフォームへと移行させています。この傾向は、世界的な新型コロナウイルスのパンデミックを機に、さらに加速する動きを見せています。多くの企業(およびその従業員)がリモートワーク体制へと移行したことに伴い、各社はクラウド導入ソリューションの採用を進めています。現在、市場には多種多様なクラウドコンピューティングモデルが存在します。どのクラウドモデルが最適であるかは、個々のニーズによって異なります。本ブログでは、そうしたモデルの中から、「Platform as a Service(PaaS)」と「Software as a Service(SaaS)」という2つのモデルについて解説します。
PaaS vs. SaaS:主な相違点
PaaS vs. SaaS:より人気があるのはどちらか?
上記のグラフから、Google検索トレンドに基づくと、これら2つのツールの中ではSaaSの方がより広く普及していることが分かります。
しかしその一方で、PaaSへの関心が一時的に急上昇し、検索クエリ数においてSaaSを上回る時期も見受けられます。全体として、過去5年間の推移を見ると、SaaSの方がより高い人気を博しているという結果になりました。
PaaS 対 SaaS:導入形態
PaaS(Platform-as-a-Service)として一般に知られるサービスは、企業に対し、アプリケーション開発に必要なフレームワークを提供するクラウドコンピューティングプラットフォームです。
端的に言えば、開発者がツールに関する煩わしさを一切気にすることなく、自身のスキルを磨く作業に専念できる環境を提供するプラットフォームと言えます。
一方、SaaS(Software-as-a-Service)として一般に知られるサービスは、チーム向けのソフトウェアをユーザーに提供するクラウドコンピューティングプラットフォームです。通常、これはクラウドプラットフォーム上でホストされるサブスクリプション(定額利用)モデルを採用しており、一定期間、ソフトウェアを借り受けて利用することができます。
PaaS 対 SaaS:アプリケーション
PaaSは、多数のメンバーが同一のプロジェクトに取り組むような状況において、特にその有用性を発揮します。とりわけ、自社利用やクライアント向けに独自のカスタムアプリケーションを開発する必要がある場合に、最も適した選択肢となります。
PaaSを利用すれば、既存のアプリケーションに変更や修正を加えたり、あるいは独自のアプリケーションを新規に開発したりする上で、極めて高い柔軟性を確保することができます。
一方、SaaSの場合は、サードパーティが提供するソフトウェアを利用する形態であるため、独自のカスタムアプリケーションを開発することはできません。SaaSは、主にOPEX(運用費用)のカテゴリーに分類されるプラットフォームです。
したがって、独自のアプリケーションを開発するためのリソースが十分に確保できない状況であれば、SaaSはまさに理想的なソリューションとなります。また、スタートアップ企業などで、多額の設備投資(CAPEX)を要するリソースへの投資を避けたいと考えている場合にも、SaaSがその課題に対する有効な解決策となるでしょう。
PaaS 対 SaaS:事例
PaaSの主な事例としては、Google App Engine、Apache Stratos、OpenShift、Windows Azure、AWS Elastic Beanstalk、Herokuなどが挙げられます。
SaaSの主な事例としては、Google Apps、CADソフトウェア、Cisco WebEx、GoToMeeting、HubSpot、Zendesk、Office 365、Adobe Creative Cloudなどが挙げられます。
PaaS 対 SaaS:スケーラビリティと可用性
PaaSはスケーラビリティを備えていますが、その拡張には一定の制限があります。また、PaaSは通常、極めて高い可用性を維持しています。その可用性が損なわれるのは、データ障害が発生した場合や、サービスプロバイダー側のシステムに問題が生じた場合に限られます。
一方、SaaSは、サービスプロバイダーがソフトウェア全体を提供しているため、必要に応じてリソースを拡張(スケールアップ)したり縮小(スケールダウン)したりすることが、PaaSよりもはるかに容易です。SaaSもまた高い可用性を誇りますが、サービスプロバイダーが複数のデータセンターを用いたバックアップ体制を構築していない場合に限り、サービスが利用不能となる可能性があります。
PaaS 対 SaaS:適性
PaaSは、インフラストラクチャ全体がすでに整備されている既存の組織により適しています。また、独自の要件(カスタマイズニーズ)を抱えており、その実現を自社のITチームに委ねているような組織にも適しています。
一方、SaaSは拡張性および可用性が非常に高いため、組織の規模を問わずあらゆる組織に適しています。
さらに、SaaSにかかるコストはPaaSに比べて大幅に低く抑えられるため、企業はカスタマイズが不要な領域においては、SaaSソリューションを選択する傾向にあります。
PaaS vs. SaaS:メリットとデメリット
PaaSのメリット:
- カスタマイズされたアプリケーションを作成できる。
- プロセスを容易に効率化できる。
- アプリケーションの開発および展開を容易に迅速化できる。
PaaSのデメリット:
- ロックイン期間(拘束期間)がある
- 柔軟性が低い
- より高度なスキルが求められる
SaaSのメリット:
- 使いやすさ
- 柔軟性
- 拡張性(スケーラビリティ)
- ロックイン期間が短い
- 必要なスキルセットが最小限で済む
- コスト効率が良い
SaaSのデメリット:
- アプリケーションに対する制御権がない
- データセキュリティ上の問題が生じる可能性がある
- 他のツールとの互換性に関する課題
- カスタマイズの選択肢がない、あるいは極めて限られている
PaaS 対 SaaS:料金体系
ほとんどの PaaS プラットフォームでは、新規ユーザー向けに無料利用枠(フリーティア)が提供されています。無料トライアル期間が終了すると、ユーザーは自身が選択したプランに基づいて料金を請求されることになります。
各プロバイダーによってプランの内容は異なりますが、基本的にはハードウェアやソフトウェアの要件に基づいて料金が設定されます。また、一般的に契約期間(ロックイン期間)は長めに設定される傾向にあります。
一方、多くの SaaS ツールでも、一定期間の無料トライアルが提供されています。SaaS ツールの大部分は、月額サブスクリプション形式で利用可能です。料金は、利用量、機能、および用途によって異なりますが、全体として見れば、SaaS の方が費用負担は少なくて済みます。
主なポイント
今回のPaaSとSaaSの比較が、両者の基本的な違い、用途、導入方法、そして有用性について理解を深める一助となれば幸いです。
これらのプラットフォームは互いに共存し得るものであり、多くの事例に見られるように、異なる要件に応じて両方のソリューションを選択することになるかもしれません。




