企業は常に、コストを削減しつつ、効率と収益を向上させるための新たな手法を模索しています。ERP(企業資源計画)ツールを活用したBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)は、こうした課題の解決に寄与する有効な手段ですが、そこには特有の課題も伴います。
企業は、自社の業務運用が導入したERPソリューションのプロセスに確実に適合している状態を確保しなければなりません。
もし両者の間に不整合が生じた場合、組織は当初期待していたようなメリットを享受できなくなってしまいます。最悪の場合、ERPソリューションへの設備投資が徒となり、かえって金銭的な損失を被ることになりかねません。
では、この問題を回避するための解決策とは何でしょうか? それこそが、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)です。本稿では、このBPRの各側面について、これから詳しく解説していきます。
ERPとは何か?
ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)とは、複数のビジネスプロセスを統合的に管理することです。具体的には、そのツール内に多数のアプリケーションを内包したソフトウェアを指します。
これらのアプリケーションを活用することで、企業内の様々な部門における業務を効率的に遂行することが可能になります。
ERPソリューションは、経営資源や経費、さらにはその他膨大な量のデータを一元的に把握・追跡するのに役立ちます。さらに、組織がそれらの経営資源をいかに有効に活用できたかについて、詳細な分析結果を提供します。
また、どのような成果が達成されたのか、そしてその成果が組織全体の目標や方針の範囲内に収まっているかどうかも可視化します。
BPRとは何か?
あらゆる組織は、特定の目標を達成するために、何らかのプロセスに基づいて活動しています。もしこのプロセスに不備があれば、期待される成果を得ることはできません。
さらに、現在運用されているプロセスが、常に100%の効率性を備えているとは限りません。そのため、その効率を向上させるためには、プロセスの再構築(リエンジニアリング)が必要となります。
これが「ビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)」と呼ばれるものです。これは、利用可能なリソースから最大限の価値を引き出すために、すべての企業が取り組むべき重要な活動です。
BPRとERPはどのような関係にあるのでしょうか?
前述の通り、ERPを導入・運用するには、効果的なビジネスプロセスが不可欠です。もし既存のプロセスが不十分な場合、ERPツールが求める要件に適合させるために、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)が必要となります。したがって、BPRとERPは密接に連携し、両輪となって機能するものと言えます。
ただし、BPRの実施は必須ではありません。組織によっては、ERPを導入する「前」にBPRを実施することを選択する場合もあります。また、ERPパッケージに標準で組み込まれているBPR関連のプロセスやテンプレートを活用することを選ぶ組織もあります。
あるいは、BPRのプロセスを一切行わずに導入を進める組織もあります。しかし、BPRを適切に実施することで、ERP導入によって得られる効果やメリットを、大幅に早期化・最大化することが可能になります。
ERP導入の文脈において、BPRを実施するタイミング(フェーズ)は主に3つに分類されます。具体的には、以下の通りです。
ERP導入前のBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)
多くの組織は、このフェーズの実施を選択することを好みます。これにより、現在の業務プロセスやリソース、そしてそれらが実際にどのように機能しているかについて、より明確な全体像を把握できるようになるからです。
こうすることで、組織が直面している課題を洗い出し、その中でも特に優先度を高くして対処すべき課題を特定することが可能になります。
その結果、組織は価値提案の向上や顧客満足度の向上を通じて、自社および顧客双方にとってより大きな利益をもたらすことができるようになります。
また、従業員にとってもこのアプローチは有益です。事前に業務プロセスの変更について周知されているため、十分な準備期間をもって新しいプロセスに適応することができ、日々の業務における混乱や支障を未然に防ぐことが可能となります。
ERP導入におけるBPR(ビジネスプロセス再設計)の推奨
一部の組織は、実績のある既存プロセスから大きく逸脱しないERPソリューションを選択します。そのため、ERP導入におけるBPRは最小限にとどめます。
これにより、導入から適切な価値を引き出し、日常業務に混乱を生じさせないようにしています。
しかし、これには裏があります。適切なERPを選択しないと、逆効果となり、大きな利益ではなく、大きな損失につながる可能性があります。
したがって、重要なのは、組織の標準プロセスに適合する適切なERPパッケージを選択することです。
ERP導入時におけるBPR
これは、実行自体は可能であるものの、極めてリスクが高く、現実的とは言えない選択肢です。このアプローチでは、ビジネスプロセスがリアルタイムで変更されていくため、企業の日常業務に甚大な混乱をもたらすことになります。
業務プロセスが変更され、システム導入作業が進行している最中であっても、顧客に対するサービス提供は、平時と同様に滞りなく行われなければなりません。
ここで何らかの業務阻害が生じれば、顧客の不満を招き、組織全体に損害をもたらす結果となりかねません。
結論
ERPにおいて、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)は極めて重要な位置を占めています。そのため、企業がERPの導入を検討する際には、この点に十分留意することが不可欠です。BPRを大掛かりに実施する場合、そのプロセスは少なからず負担の大きいものとなる可能性があります。
こうした煩雑な側面を考慮に入れたとしても、BPRは依然として極めて有益なプロセスであると言えます。なぜなら、そこから得られる価値は、これまでに経験したことのないほど高いものだからです。




