ビジネスインテリジェンスの技術トレンドと実用例

Business Intelligence Tech Trends

ビジネスインテリジェンス(BI)とは?

ビジネスインテリジェンス(BI)は、テクノロジーを活用した手法です。これは、データ分析を行い、リーダー、マネージャー、従業員に有益な情報を提供することで、ビジネス上の意思決定を改善するために用いられます。BIのプロセスにおいて、企業は社内外のITシステムからデータを収集し、分析可能な状態に整えます。そして、その分析結果は、業務運営や戦略的計画の策定を行うビジネスユーザーによって活用されます。

BIの取り組みの究極の目的は、企業がより適切な意思決定を行えるよう支援することにあります。これにより、企業は収益の向上、業務効率の改善、そして競争優位性の獲得を実現できます。BIは、アナリティクス、データ管理、レポーティングツール、および分析手法を組み合わせて活用します。

ビジネスインテリジェンスの技術トレンド

予測分析および処方的分析ツール

ビジネス分析は「未来」に焦点を当て、「もし~だとしたらどうなるか?」「どうすれば実現できるか?」といった問いへの答えを導き出そうとします。予測分析(Predictive Analytics)と処方的分析(Prescriptive Analytics)は、BI(ビジネスインテリジェンス)の専門家の間で最も注目されているトレンドです。ビッグデータが分析プロセスの主役となって以来、ビジネス分析は大小さまざまな規模の企業で活用されるようになりました。予測分析は、既存のデータから情報を抽出し、将来の可能性を予測するものです。具体的には、現在および過去のデータを分析して顧客・製品・パートナーを理解し、潜在的なリスクや機会を特定します。

リアルタイムのデータと分析

今年、リアルタイムデータへの需要は劇的に高まり、2021年もその傾向は続くと見られています。パンデミックの発生以来、こうした困難な状況に対処する効果的な方法を構築する上で、リアルタイムかつ正確な最新情報の把握がいかに重要であるかが明らかになりました。一部の国では最善の判断を下すためにデータが活用され、企業もまた、予測不可能な時代を生き抜くために同様の取り組みを行っています。リアルタイムでのデータ利用は、今や企業だけでなく一般の人々の日常生活においても当たり前のこととなっています。データやグラフ、統計情報がふんだんに盛り込まれた最近の記者会見の様子からも、そのことは見て取れます。

コラボレーティブ・ビジネスインテリジェンス

競争の激しい環境下にある現代において、マネージャーや従業員にはこれまでとは異なる働き方が求められています。そうした中、新たなタイプのビジネスインテリジェンス(BI)として「コラボレーティブBI」が台頭しています。これは、ソーシャルメディアやWeb 2.0技術といったコラボレーション・ツールと、オンラインのBIソリューションを組み合わせたものです。高度な分析やレポート作成が求められる今日のスピーディーなビジネス環境において、新たな課題に対処し、連携を強化するために開発されました。コラボレーティブBIを語る際によく取り上げられるのが「セルフサービスBI」という概念です。セルフサービス技術を活用すれば、IT部門を介することなく、データのアクセス、解釈、理解が可能になるからです。これらのBIソリューションは、レポートの自動作成機能を備えており、情報の共有を容易にします。レポートは、特定の時間や対象者に向けて配信されるようスケジュール設定が可能です。また、ビジネス情報に関するアラート機能や、公開型あるいはシステム組み込み型のダッシュボード機能も提供されます。これらのダッシュボードはカスタマイズが可能で、インタラクティブな操作性も備えています。

モバイルBI

モバイルBI(モバイル・ビジネス・インテリジェンス)は、BIソリューションへの統合がますます進んでいます。この傾向は、今後も間違いなく続くでしょう。実際、本記事の3つ目のポイントでも触れたように、これはビジネス・インテリジェンス分野において最も注目すべき発展トレンドの一つです。
モバイルBIは以前から、BIおよびアナリティクス分野に大きな変革をもたらすものと見なされてきました。市場への浸透は緩やかではあるものの拡大を続けており、今後さらに多くのベンダーやBIソリューションが登場すると予想されます。
モバイルソリューションは企業に数多くのメリットをもたらすため、企業による導入や積極的な活用が進むでしょう。電車での移動中や、ビーチでくつろいでいる時など、いつでもどこからでも情報にアクセスすることが可能になります。
画面サイズの制約や、最適な使いやすさを実現するためのデザイン上の課題といった制約はあるものの、モバイルBIは2021年においても企業が取り組むべき重要なトレンドの一つとなることは間違いありません。

データ自動化

データ(分析)の自動化なくして、ビジネスインテリジェンス(BI)の取り組みは完結しません。過去10年間で、生成・保存・処理されるデータ量は爆発的に増加しました。その結果、企業や組織は、収集された膨大なデータを扱うための最新のデータ自動化ソリューションを求めるようになっています。KDainGatesの調査によると、今後10年以内にデータサイエンス関連の定型業務は自動化される見通しです。これは、私たちが注目すべきBIのトレンドの一つと言えます。
ビジネスアナリティクスの発展に伴い、自動化の機会は数多く生まれており、2021年にはさらにその動きが加速するでしょう。データサイエンティストとビジネスユーザーの間の壁は徐々に取り払われつつあります。その結果、データ収集、分析、モニタリング、レポート作成といった企業のあらゆるデータ関連ニーズをワンストップで満たす環境が整いつつあります。「インテリジェント・レポーティング(高度なレポート機能)」はその一例です。予測分析や自動レポート機能の活用により、ビジネスユーザーはIT部門の支援を仰ぐことなく、データ関連業務を自動化できるようになります。一方、人間の手によるスクリプト作成やコーディングを必要とする複雑な分析については、今後もデータサイエンティストが担っていくことになります。

ビジネスインテリジェンス技術の現実世界における活用

アメリカン・エキスプレス

金融業界において、ビジネスインテリジェンス(BI)は極めて重要です。アメリカン・エキスプレスは、この技術を活用して新たな決済サービスを開発し、顧客に提供しています。オーストラリア市場の調査によると、同国の顧客の最大24%が4ヶ月以内に口座を解約してしまうというデータがあります。アメリカン・エキスプレスは、こうした情報を顧客の維持(リテンション)に役立てています。また、BIは不正利用を正確に検知し、クレジットカード情報が流出した顧客を保護する上でも組織を支援しています。

コカ・コーラ

コカ・コーラは、ソーシャルメディア上のデータを活用しています。これには、3,500万人のTwitterフォロワーや1億500万人のFacebookファンといったデータが含まれます。同社は、AIを活用した画像認識技術を用いることで、自社製品の画像がオンライン上に投稿されたことを検知できます。この情報はBIの分析力と組み合わされます。これにより、誰が、どこで、どのような理由でオンライン上で同ブランドについて言及しているのかを深く理解することが可能になります。こうしたデータは、消費者一人ひとりに最適化された(パーソナライズされた)広告を提供するために利用されます。パーソナライズされた広告は、一般的な広告に比べてクリックされる確率が4倍高いとされています。

デルタ航空

ビッグデータとビジネスインテリジェンス(BI)の活用は、顧客サービスの向上と、デルタ航空ならではの体験の差別化に貢献しています。客室乗務員は、重要な法人顧客に対して個人的なレベルで感謝の意を表し、敬意を示すことができるようになりました。デルタ航空は、優れた顧客体験と巧みなプログラム運営により、出張・ビジネス旅行業界におけるリーダーとしての地位を確立しています。同社は、ビジネス利用の乗客や「メダリオン会員」に対して期待以上のサービスを提供しています。今回の機能強化により、乗客への感謝を示す手段が広がり、顧客ロイヤルティのさらなる向上が図られています。

Netflix

1億4,800万人の会員を擁するこのインターネット・エンターテインメント企業は、BI(ビジネスインテリジェンス)の活用において大きな優位性を持っています。NetflixはBIにどのように取り組んでいるのでしょうか?同社は多岐にわたる方法でデータを活用しています。その一例として、過去の視聴データに基づいて新しい番組のコンセプトを開発・検証する取り組みが挙げられます。また、ユーザーとコンテンツとの関わりを深めるためにもBIが活用されています。同サービスは、ターゲットを絞ったコンテンツの提案に長けており、レコメンデーション(推奨)システム経由での再生が、全ストリーミング再生の80%以上を占めています。

スターバックス

スターバックスは、有名なロイヤリティカード・プログラムやモバイルアプリを通じて、数百万人の顧客による個々の取引データを保有しています。同社は、これらのデータとBIツールを活用して購入行動を予測し、アプリやメールを通じて顧客一人ひとりに合わせたオファーを提示しています。これにより、既存顧客の来店頻度が高まり、結果として収益の増加につながっています。

Tesla(テスラ)

先進的な自動車メーカーである同社は、BI(ビジネスインテリジェンス)を活用して車両と本社を無線で接続し、研究用のデータを収集しています。この手法により、メーカーと顧客が直接つながり、部品の損傷、交通状況、道路上の危険箇所といった問題を事前に予測・修正することが可能になります。その結果、顧客満足度の向上につながるとともに、将来的な改善や製品開発において、より的確な判断を下せるようになります。

Twitter(ツイッター)

Twitterは、BIとAI(人工知能)を活用しています。これにより、プラットフォーム上の不適切かつ危険を及ぼす可能性のあるコンテンツへの対策を行っています。テロに関連して停止されたアカウントの95%は、アルゴリズムによって特定されたものです。
また、BIとAIを用いて微調整を行うことで、全体的なユーザーエクスペリエンス(UX)の向上も図られています。Twitterの従業員とBIツールは、ライブ動画配信を監視し、トピックごとに分類を行います。この情報は、検索機能の強化や、ユーザーが関心を持ちそうな動画をアルゴリズムが特定する際の支援に役立てられています。

Uber(ウーバー)

同社は、事業運営における重要な要素を把握するためにBIを活用しています。その一例が「サージプライシング(需要に応じた価格変動)」です。アルゴリズムが交通状況、移動時間、ドライバーの稼働状況、顧客の需要を常時監視し、需要の増加や交通状況の変化に合わせて料金を調整します。航空会社やホテル業界でも、需要に基づいてリアルタイムで価格を変更する「ダイナミックプライシング」が導入されています。

Walmart(ウォルマート)

小売業界の巨人である同社もBIを活用しています。これにより、インターネット上での行動が実店舗やオンラインでの活動にどのような影響を与えるかをより深く理解できるようになります。Walmartはシミュレーション分析を通じて、顧客の購買傾向を把握することが可能です。例えば、1日あたりの視力検査数やメガネの販売数を特定したり、1日や1ヶ月の中で最も混雑する時間帯を正確に特定したりすることができます。

結論
テクノロジーが高度に発達した現代のビジネス環境において、BI技術は事業運営に極めて有用です。単一のツールから顧客に関する洞察(インサイト)を得ることができ、詳細なレポートや直感的な可視化(ビジュアライゼーション)を作成することも可能です。さらに、企業の成功指標を追跡・管理することもできます。